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石原都政 評価と課題

都議会民主党


は じ め に

 戦後6人目の都知事に就任した石原慎太郎氏の都政運営手法は、ラグビーにおける、ボールを敵陣に蹴り上げ、ボールの落下点に向けて選手を走らせるキック&ラッシュ戦法に似ています。鈴木俊一元知事は、ファードを主体としたオーソドックな組織戦を進めましたし、青島幸男前知事は基本的に職員にすべてを任せましたが、石原知事は「危機意識」と「スピード」を掲げ、とにかく職員を走らせることによってチームの体質改善を図ろうとしているようです。
 銀行業に対する外形標準課税の導入に際しては、国チームの盲点を突き、スクラム・ハーフの後方にパントを落とす戦法で一気になだれ込んでトライを奪いました。また、ディーゼル車NO作戦では、国チームの後方深くボールを蹴り上げ、陣地を大きく前進させましたが、体勢を立て直した国チームと一進一退の攻防戦を繰り広げています。さらに、正面突破は困難とみた横田基地返還の課題では、ライン際にボールを蹴り上げて「共用化」で攻め込もうとしましたが、国チームのデフェンスが堅く、ライン・アウトになりかねない状況にあります。
 どれも見た目にはおもしろく、都民を大いに沸かせていますが、事実を正確に把握しないまま「談合」だ、「木っ端役人」だなどと都民の前で職員を罵倒したり、「シナ」や「北鮮」などという他民族を蔑視する言葉を平然と用い、都民の差別感をあおる「三国人」発言や「不良外国人への治安出動」などの発言もあり、各所でひんしゅくをかっています。
 しかし、この間のキック&ラッシュ戦法でボールに追いつく職員のスピードや技能を見た石原知事は、二度にわたる人事異動(編成替え)で自らの望むチームとなるよう体制を整えてきており、今後の闘いが注目されるところです。
 都議会民主党は、都民福祉の向上を図るという一点にたって、銀行税やディーゼル車NO作戦に賛成する一方で、「談合」発言や「木っ端役人」発言を批判し、「三国人」発言の撤回などを求め、「謝罪する」「不適切だった」などという答弁を得ています。
 石原知事について、私たちは、その政策課題に対する明確な姿勢と観客を大いに沸かせる手法を評価して「まずは合格」としていますが、失言・暴言には批判的であり、組織をマネジメントする能力には疑問を持っています。
 従って、石原知事が引き続き知事を務めることに適任か否かは、今後の闘いぶりをよく見て判断していく必要があります。

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○首都機能移転に断固反対

 この東京から首都機能を移転することは、東京のみならず、我が国の発展と国民生活に極めて大きな影響を及ぼす問題です。国会の決議や法律の制定時に比べると、バブル経済が崩壊し、景気が大きく落ち込むとともに、情報通信の進展や環境への関心が高まるなど、社会経済情勢が大きく変化しています。また、江戸時代から今日にかけて、この東京に築き上げられてきた文化的歴史的蓄積を活かすことなく、莫大な経費をかけて首都機能を移転することは、まさに歴史への冒涜といっても過言ではありません(平成11年第2回定例会施政方針)。

●評価と課題

 東京都は、都が実施した世論調査(平成11年7月実施)で、「国民に周知されていない」との答えが74%にもなったことから、@国民の知らないところで議論されているとし、A新都市の建設により、JR山手線内の1.3倍以上の面積が開発され、移転先の環境に大きな影響を及ぼす、B交通費、人件費、通信費などの余計なコストが現在より毎年約3000億円も増加し、新都市との往来などで不便になる、Cどこに移転しても日本全体のGDPを減少させ、膨大な借金を抱える日本の財政状況を更に悪化させるなどとしています。
 一方で、昨年末、国会等移転審議会が移転先候補地を答申し、去る5月18日には、衆議院「国会等の移転に関する特別委員会」が、「2年を目途にその結論を得る」とした「国会等の移転に関する決議」を採択しています。
 石原知事の「首都機能移転に断固反対」は、「歴史への冒涜」との発言にも表れているように理屈よりはもはや情念の世界です。多くの都民にも、「東京=首都」を前提とした反対論も少なくありません。しかし、国レベルの政府の位置は、国家の政府機能が十全に果たしうる地域に存すればよく、「東京=首都」と固定的に考えるべきではありません。社会経済情勢の変化によっては、首都を移転することはありうる選択肢の一つです。
 このことを前提に首都移転を検討するならば、@私たちの目指す分権型連邦国家においては、国レベルの政府の果たす内政機能は現在よりは著しく低下し、国家間、国際レベルでの外交、調整機能の重要性が飛躍的に高まることとなります。従って、新首都は、小規模でかつ24時間使用可能な国際空港に隣接して立地する必要があります。A社会資本の整備された既存都市におくのではなく新都市を建設することになれば、政府のいう10年間で12兆円にとどまらず、鉄道、道路、国際空港などの新たな投資が必要となり、その額は巨額になりえます。また、公的資金、民間資金を新都市に一極集中的に投資することは、日本の経済構造改革に資するものではありません。
 以上の点を考慮するならば、石原知事の情念の世界とは別に、今なすべきことは、私たちの目指す分権型連邦国家の確立であり、規制緩和を導き糸とした経済構造改革を通じた日本経済の再生です。かっての高度成長期に21世紀を展望した首都移転ならまだしも、既に財政的にも時機を逸しており、日本経済再生の後に改めて検討すべきです。

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○横田基地返還・軍民共同使用を

 横田飛行場は、都民の平穏で安全な生活を守るとともに、多摩の振興を図る上で極めて重要な位置にあります。このため、横田飛行場が我が国に返還されることを基本としつつ、返還までの対策として、地元自治体等とも連携を図りながら、民間航空機が就航できるよう、国に強く求めてまいります。(平成11年第2回定例会所信表明)

●評価と課題

 横田基地について、知事選告示前には「返還」でしたが、告示後は「返還もしくは民間との共同使用を実現し、首都圏の第三空港を誕生させる」となり、「返還は大風呂敷で言ったこと」となりました。
 知事としての正式見解は上記所信表明であり、これに前後して横田基地並びに多摩弾薬庫を視察、平成11年10月には「横田基地に関する調査−概況調査報告書」を発表しています。
 同「報告書」によると、横田飛行場における民間航空需要(2015年度)は、「国内旅客260万人/年、国際旅客230万人/年、国際貨物12万トン/年」であり、共用化に伴う騒音の影響は、「今回推計の最大値の場合でも、WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)75のコンターは、現在設定されている第1種区域(昭和59年3月指定)の範囲内」であるとしています。また、共用化に伴う産業・雇用等の経済的効果(1次波及効果)は、生産誘発額約1,400億円、誘発就業者数約8,300人としています。
 また、同年11月には、「基地周辺だけでなく、さらに広範囲の区市町村や隣接県、経済団体などの参加を求め、意見交換」を行うために、「横田基地の民間利用を考える会(非公開)」を発足させ、平成12年5月には第2回目の意見交換会を開催しています。
 しかし、軍民共同使用を求める訪米は「アメリカ大統領選挙後」に延期し、最近は国が真剣に首都圏第三空港を考えるならば横田にはこだわらない旨の発言も報道されており、揺れもうかがわせています。
 確かに、「返還」に向けたアプローチとしての「軍民共同使用」は選択肢の一つではありますが、横田飛行場は内陸部に位置し、滑走路も一本(3,350m)しかないことなどから、「首都圏第三空港」としては不適と言わざるを得ません。地方空港として活用するにしても、別に「首都圏第三空港」が誕生した場合、採算性に疑問符がつくことになります。
 従って、チャーター便による「軍民共同使用」が可能な選択肢であり、横田基地の返還を図るためには、極東アジア情勢の安定化による米軍の撤退、もしくは、「海上基地の建設と横田・厚木の移設」(佐久田昌昭日大名誉教授)によってしかなしえないのではないでしょうか。
 すなわち、「(横田基地返還は)知事が決められる話ではないし、現実的にもずっと先の課題(外務省幹部)」と言わざるを得ません

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○「機能するバランスシート」の作成

 都民は都税を納める株主であり、その会社(都)にバランスシートがないのはおかしい。
 単式簿記から複式簿記へ、バランスシートの作成により財政を明確化する。
 きちんとしたバランスシートをつくることで(財政)再建の目処が立つ。3兆円の株式などの債権も持っており、まずその内容を確かめたい。大蔵省のように知らしむべからざる方法ではお先真っ暗だ。(知事選での主張・当選当日の会見等より)

●評価と課題

 石原知事は、知事就任後、6月1日付けで中地宏日本公認会計士協会会長を東京都参与に任命、東京都のバランスシート作成に当たらせました。
 中地参与は、まず平成9年度末現在のバランスシートを作成し、財政再建推進プラン(平成11年7月)に掲載するとともに、安藤算浩氏ら5名の東京都専門委員と検討を進め、平成12年5月、「機能するバランスシート(中間報告)」をまとめています。
 この報告によると、現行公会計制度には、@単式簿記による「ストック(Stock)情報」の欠如、A現金主義による「コスト(Cost)情報」の欠如、B住民への要領の公表について、一定のルールがないことによる「アカウンタビリティ(Accountability)」の欠如、C予算(Plan)、執行(Do)が重視され、評価・決算(See)が十分に実施されないことによる「マネジメント(Management)」の欠如があるとして、これらを補完、改善するために、@貸借対照表の作成と全体の財政状況をつかむために、公営企業、東京都監理団体等を結びつけた連結貸借対照表の作成、A行政活動の経済性や効率性を判断する重要な情報報告書として、行政コスト計算書の作成、Bアニュアルレポート(年次報告書)の作成、C政策形成(Plan)−実施(Do)−評価(See)のマネジメントサイクルの確立を提案しています。そして、「機能するバランスシート」とは、「単に貸借対照表だけでなく、キャッシュ・フロー計算書、行政コスト計算書を含めたものであり、外部報告書及び内部管理用に利用可能な総合的会計システムである」としています。
 私たちは、青島前都政のもとにおいても、公会計制度への企業会計的手法の導入、予算編成の見直しと決算重視、コスト情報の開示、行政評価制度の導入などを求めてきました。今回の中間報告は、基本的に私たちの主張と軌を一にするものであり、率直に評価するものです。
 今後、部門別(事業別)バランスシートの作成を進めて財政評価、行政評価に資するとともに、東京都全体の財政状態を見極めるための連結財務報告書を作成する必要があります。また、こうしたバランスシートの作成は、現状では地方自治法に基づいた財務書類の作成と二重業務となっています。地方自治法の改正も含め、企業会計手法が活用されるシステム改革が早急になされる必要があります。

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○銀行業に対する外形標準課税の導入

 石原知事が導入を提案した銀行業に対する外形標準課税は、@現行事業税の特例規定(地方税法第72条の19)を活用して、A「資金量」の残高が5兆円以上の大手銀行を対象に、B銀行の基本的な業務の収益である「業務粗利益(=資金利益+役務取引等利益+その他業務利益)」に対して、C都道府県間の分割割合を考慮したうえで、D3%(特別法人は2%)の税率で課税するというもので、E5年間の時限措置となっています。

●評価と課題

 今回の銀行業に対する外形標準課税案を策定するに当たって石原知事は、ごく限られたスタッフとの間に極秘裏に準備を進めました。「政策決定過程の不透明さ」はありますが、今回の課税案に対しては、銀行業界並びに業界の要請を受けた政府・自民党の反対が当然のこととして予想されており、「透明さ」を確保すれば策定過程中に様々な妨害を受けることとなり、成案をまとめることが困難となったであろうことを考えれば、やむ得なかったと言えます。
 銀行業という「特定業界を対象」としたことについては、銀行業は、他法人と比べても税収動向は極めて不安定で、所得を基準とした課税では応益課税としての法人事業税の機能が喪失していること、ここ数年、十分な収益をあげながらも、多額の不良債権処理に伴う繰越欠損のために所得が生じておらず、そうした情況が、今後、急に好転することは見込まれないことなどから、このような銀行業に対して所得課税を続けた場合には、「当該事業の活動量・規模に見合った税負担が求められない」という銀行業に特有の「事業の情況」があるため、今回、地方税法第72条の19の規定に基づいて、外形課税を行うこととしたものです。特に資金量5兆円以上の銀行業にこのような特有の「事業の情況」が顕著に認められます。また、特定業界という意味では、既に電気・ガス・生保・損保が外形標準課税の対象となっており、銀行業が問題だというならばこれらの業界に対する課税も問題だということになります。
 また、「広く薄く負担を求めるのが外形標準課税本来の考え方」ですが、それは事業税制度そのものの改正に係る問題であり、法改正によって対処すべき問題です。今回の銀行業に対する外形標準課税は、あくまで現行制度を前提として、特有の「事業の情況」にもとづき地方税法第72条の19の規定を活用するものです。
 他の道府県に対しては、対象となる銀行30行が、現状のように大部分の銀行が所得を計上していないもとでは、ほとんど影響しません。
 銀行が所得を計上し、東京都に支払った事業税を損金として所得から控除すればその分他府県に影響することになりますが、外形課税による事業税よりも所得課税による事業税の方が上回るほどに所得を計上するようになりますと、東京都は外形課税による事業税しか徴収しないわけですから、その差の分、他府県にはプラスになることになります。
 以上の点などから、都議会民主党は、銀行業に対する外形標準課税の導入に賛成しています。

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○「アジア大都市ネットワーク」の結成

 石原知事は、東京が牽引車となってアジア諸都市全体の発展を目指す「アジア大都市ネットワーク」を結成し、環境問題への対応、文化の発信や文化産業の育成、災害時の相互支援体制の確保、都市づくりに関する技術・人材交流などの事業展開を検討すると発表しました。

●評価と課題

 具体的な動きとして、石原知事は、平成12年4月に、東、南、東南アジアそれぞれから都市を1つずつ選び、都の外務長と浜渦特別秘書(現副知事)をインドのデリーとマレイシアのクアラルンプールへ、生活文化局長をソウルへそれぞれ派遣し、知事の構想の説明と協力の要請を行いました。その後、6月までに当該3都市より協議を行う事の了承が得られ、東京、デリー、クアラルンプール、ソウルの4都市首長による「アジア大都市ネットワーク共同提唱都市首長会議」をこの8月下旬にマレイシアのクアラルンプールで開く事となりました。その会議において、他のどの都市に呼びかけるかを含め、今後の取組について話し合われる事となっています。
 本構想については、知事の主導によるところであり、知事が具体的にどういったイメージを描いているのか、あるいは真意はどこにあるのかは不明で、今後の検討状況を注目する必要があります。これまでの知事の著作や言動からも、特に外交問題には知事独特の見解を持っており、必ずしも国の外交方針とは一致しない部分も多々あります。特に大陸中国に対しては過激なほどの敵がい心が強く、独自に台湾を訪問するなどして物議をかもしてもいます。今回のこの構想がそのような知事のこれまでの主張の文脈から出ており、知事の思想を具現化するために利用されるものであるとすれば、大いに警戒する必要があります。都議会民主党は、この7月の定例会代表質問において、これがかつての冷戦構造を引きずるものであったり、北京包囲網を形成するものであってはならないと、警告を発しています。内外に影響力のある東京都知事の行動として、一歩間違えれば、これまで友好都市として交流を深めてきた北京市との関係を壊し、多くの関係者の努力を台無しにしてしまうだけではなく、国の外交にも重大な影響を与える事になると懸念します。
 都市の交流事業は大いに進めていくべきとは考えますが、本構想には特に以上の観点からも大いに警戒し、今後の推移を注視していきたいと考えます。

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○「ディーゼル車NO作戦」を宣言

 石原知事は就任早々の政策の目玉として、昨年8月に、「ディーゼル車NO作戦」と題するグリーンペーパーを作成し、都民の意見の募集を始めました。その中で、5つの提案として、@都内でのディーゼル車の不使用・不買・不売、Aガソリン車等への代替義務付け、BDPF(排ガス浄化フィルター)の開発・装着義務付け、C軽油優遇税制の是正、Dディーゼル車排ガス新長期規制の前倒しをあげ、また、討論会の実施や、都庁保有のディーゼル車の代替促進など、10のアクションの展開を宣言しました。

●評価と課題

 都の推計によれば、呼吸器障害や光化学スモッグの原因となる窒素酸化物(NOx)の都内の総排出量の7割が自動車からの排出で、更にその7割が走行量では2割に過ぎないディーゼル車が原因といいます。花粉症などアレルギー疾患との関連が指摘されている大気中の浮遊微粒子(SPM)も、ディーゼル車が主要な排出源とされています。
 当初、自動車業界や運送業界からは反発・反論がありましたが、討論会やグリーンペーパーなどによる都側の再反論や知事のマスコミでの再三の発言などを通し、知事の政策は都民の大方の賛同を得ています。
 本年3月に東京都環境審議会から提出された「公害防止条例の改正について(答申)」においても、DPFの装着義務付けやガソリン車への代替促進を掲げています。この答申を踏まえ、本年度中に条例改正案が都議会に提案される予定です。
 都の強い要請と世論の高まりにおされ、トラック業界も排ガス対策を急ぐ旨表明し、DPFの開発・量産の検討をはじめました。また、本年3月には日本自動車工業会と石油連盟が平成19年頃と予定されていた新長期規制に対応する排ガスの低減と、これに対応する低硫黄軽油の供給を早期に実施するとの発表を行いました。特に、軽油の低硫黄化が実現すれば、DPFの実用性が格段に上がり、低廉化が可能となります。
 また、時を移さず、首都圏の七都県市の知事及び市長で構成する「七都県市首脳会議」として、「ディーゼル自動車対策の推進に関する要望書」を国及び関係団体に提出し、対策の強化、早期実施を要望しました。こうした世論を背景に、環境庁も懸案であったディーゼル車のNOxやSPMの規制を大幅に強化する「自動車NOx削減法」の改正の方針を固め、2002年の施行を目指しています。
 このような、石原知事の、世論に訴え、国をはじめ関係機関を動かした施策の展開は評価に値するものと思われます。ただし、今後、実際に規制が徹底されるためには、DPFの早期開発・低廉化の実現はもちろん、都として民間の事業者に対するDPF装着資金の融資あっせん制度や代替車購入にかかる支援制度などを充実させる事が、実効性のカギを握っています。また、あわせて都内の交通量の過密状況を改善する事が、抜本的な大気汚染の改善につながるものであり、都が同時に取組んでいる「自動車使用に関する東京ルール」やロードプライシング等の動向も注目する必要があります。

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○福祉の見直し

 東京都は、自治体の「倒産」とも言える財政再建団体への転落を回避するために、財政再建に取り組んでいます。昨年7月に策定された「財政再建推進プラン」では、シルバーパスなどの福祉施策も見直しの対象とされ、11月の各局の予算要求などでは、厳しい見直し案が示されていました。
 私たちは、当初見直し案に対し、代表質問や予算要望などを通じて再検討を求め、石原知事も私たちの要求を受け、12年度の予算案のなかで以下のような改善案を示しました。(以下、主な見直し施策の当初見直し案と改善案の概略)
○シルバーパスは、無料パスの交付事務費として年額6千円の一部負担を示していたが、年額1千円に減額された。
○老人福祉手当や老人医療費助成は、それぞれ経過措置を設けた。
○在宅サービスの充実や健康づくりの推進のために区市町村への包括補助制度を創設し、 228億円(特養ホーム経営支援 100億を含む)を予算化した。
○重症心身障害児手当は、所得制限(扶養3人の例で年収 635万円)を導入していたが、対象外となる人については3年間の経過措置を設けた。
○心身障害者医療費助成は、所得制限を引き下げるとともに一部負担(老人保健制度に準拠)を導入する案を示していたが、低所得者(住民税非課税)に対しては、本人負担なし(入院時の食事代を除く)とした。
○乳幼児医療費助成は、一部負担(同上)を導入する案を示していたが、本人負担なし(同上)としたまま、逆に対象年齢を4歳から5歳に引き上げた。

●評価と課題

 高齢者施策の見直しは理解するものの、障害者施策の見直しについては、評価していません。
 障害者の場合は、高齢者のように将来の不安や負担がある程度見込まれるわけではなく、ある日突然、本人やその家族に降りかかり、経済的な負担のみならず、精神的な負担も大変大きいものがあります。
 障害者に対する在宅サービスについても、高齢者に比べてまだまだ不十分であることなどから、石原知事の見直し案は、厳しすぎると判断し、反対しました。
 また、見直しに至るまでのプロセスが不十分だった点も残念です。
 例えば、シルバーパスの見直し案は、通常示されるはずの局の概算要求の段階でも示されず、12月の某党の代表質問に答える形で案を示すなど、実施的な審議が予算議会という短い期間だけであったことなどです。
 しかも、それまで石原知事は一切福祉の見直しには発言せず、外形標準課税の喧噪のなかで、見直しが決定されてしまった感は否めません。

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○「365日24時間」の医療改革

 石原知事は、「365日24時間」の医療改革を掲げています。消防や警察と同様に、医療についても、休日・夜間に関係なく「365日24時間」体制で都民にサービスを提供すべきだということです。
 また、石原知事の就任後、都立広尾病院で患者を取り違えるという事故が起き、病院側の遺族に対する対応なども含め大変な社会問題となりました。
 こうしたことから、石原知事は、今年6月議会で、「東京の医療の将来像として、『 365日24時間の安心を保障する医療』、『患者中心の医療』を掲げ、日本の医療改革の突破口となる『東京発の医療改革』を開始した」と宣言し、「まず、広尾、墨東、府中の3都立病院に、2年以内を目途として、休日、夜間を含め、あらゆる症状に対応できる『東京ER』を設置する」と述べるともに「民間との役割分担のあり方などを踏まえ、地域性、医療機能の面から、老人医療センターをあわせた都立病院全体を再編整備する。このため、近く「都立病院改革懇談会(仮称)」を設置し、中長期的な展望も含めた考え方を取りまとめていく」と発言しています。

●評価と課題

 基本的には評価します。
 しかし、医療改革の波を民間の医療機関にまで広げるには、なお紆余曲折が予想される上、都立病院改革についても課題があります。
 まず、日本の医療では救命救急医療を担当する医療スタッフの養成が軽視されており、人材が非常に不足しています。まず、この前提とも言うべき問題への対策が不可欠です。
 また、都立病院は都内医療機関のベット数の5%を占めているに過ぎず、がんや難病などの高度・専門医療をはじめ、伝染病医療、救急医療など民間医療機関では対応が困難な医療を都民に提供しているために、東京都から年間 440億円の補助金が投じられています。東京都の財政状況が大変厳しく補助金の削減が必至と言われるなかで、「365日24時間」対応の「東京ER」を設置し、休日、夜間を含め、あらゆる症状に対応できる医療スタッフを確保するためには、今後、それなりの予算措置をしていく必要があります。都立病院改革によって財源を生み出すにしても、都立病院の患者は民間医療機関の紹介を主にしており、これを残すかぎり一定の限界があります。
 また、14ある都立病院を再編・整備していくなかで、廃止された地域の地域医療をどうするのか、都立病院の公設民営化などが打ち出された場合どこが運営するのかなど、地域の医師会との調整も大きな課題となるでしょう。石原知事は、徳田虎雄氏との対談のなかで、徳州会に任せてしまうかのごとき発言をしていますが、個人の政治的な思惑で都立病院の運営を特定の団体に任せるようなことはあってはならないことです。
 なお、都議会民主党の質問に対して、東京都は、患者の声相談窓口を新たに設置することや患者の権利章典を策定すること、医療機関が第三者評価を受け入れられるよう支援し、その情報を都民に提供していくことなどを約束しています。

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○『債券市場構想』

 石原知事の都知事選時の選挙公報には「都が主導の債権市場に→YES」となっていますが、石原氏の立候補表明時の政策などでは、「中小企業が発行する社債のための市場を整備し、そのことでアメリカを中心とするの投資家等から資金を調達する」というものであり、アメリカの金融帝国主義に対抗するという思いから発せられた政策でした。

●評価と課題

 東京には、すぐれた発想力や高い技術力を有する中小企業が数多く存在していますが、物的担保が不足し資金調達が困難なために、その力を十分に発揮できない中小企業が数多く存在しています。
 債券市場構想は、このような中小企業に対して、直接市場から資金を調達する道を開き、資金調達の多様化を図るために創設したものです。
 しかし、実際に実施されたものは石原氏が当初述べていた「中小企業が発行する社債のための市場」にはほど遠いものですが、中小企業の資金調達の多様化を進め、直接金融から間接金融にシフトするという観点からは、一定の評価できるのではないでしょうか。
 東京都は、今年3月に、その第一弾として、ローン担保証券(CLO)を発行し、中小企業1700社に対して約 700億円の資金を供給しました。
 CLO発行のスキームは、金融機関が企業に融資した債権を束ね証券化し機関投資家に投資してもらうというものであり、投資家にとっては、個々の企業に等するのではなく、複数の企業群に投資することになります。
 中小企業への融資金利は3.14%と高めですが、融資金額は最大5千万円、期間は3年間、期限一括返済とし半期ごとに金利前払いで、担保不要という利点があります。
 また7月13日には、東京都は、第二弾の債券発行に向けたスキームづくりで具体的な提案をするよう銀行や証券会社に要請しました。
 第一弾の発行では、参加した中小企業が倒産した場合には、東京都が一部財政負担をすることになっていましたが、第二弾では、東京都が財政負担をしない方式の提案を求めています。
 また同時に、提案にあたっては、@直接金融の要素を多く取り入れるA一部でハイリスク・ハイリターンのハイイールボンドの要素を取り入れるB債券の販売は前回の機関投資家だけでなく、公募して広く中小企業への投資を求める−などの前提条件を考慮するよう求めています。

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○教育改革 −『心の東京革命』から都立大学の改革まで−

 平成11年11月、都は「『心の東京革命』推進に向けた取組方向素案」を発表しました。『心の東京革命』 とは、豊かさを求めるあまり、自分の利害のみに関心を持ち、共同体として個々人が果たすべき役割や責任を軽視する自己中心主義の生き方が蔓延しているとの認識のもと、親と大人が責任をもって次代を担う子どもたちに対し、正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組みであるとしています。具体的な展開としては、@家庭のしつけ・教育力の強化として、幼児期の子どもを持つ母親への意識啓発、A学校における体験学習の推進など心の教育の充実、B異年齢の子どもや他の親子、お年寄りとふれあう場や機会の創出など、地域における教育力の強化、C社会全体の意識啓発や条件整備などによる大人の意識啓発と社会環境の改善をあげ、この8月には行動プランを策定するとしています。

●評価と課題

 昨今の青少年の道徳観の欠如が顕著になっているといわれる状況で、知事主導のこの呼びかけは都民の大方の評価を得ていると言えるでしょう。ただし、一方で、行政が家庭のしつけに口出しをするような事に反発の声もあり、権力による道徳のおしつけを危惧する意見もあります。都が正面から倫理・道徳を主唱する以上、逆に知事自身や行政側の姿勢が強く問われる事にもなるので、今後の施策の展開を注視していきたいと考えます。
 特に、社会環境の改善としては、緊急に取組むべき課題が多く、例えば、都議会民主党がこれまで再三議会で取り上げてきた青少年に有害な図書のコンビニ等における無造作な取扱いや広告媒体等における過剰な性表現、いきすぎた性の商品化、あるいは薬物乱用問題などは、行政が強い姿勢で、社会のコンセンサスを十分に得ながら対処していくべきと考えます。
 この他、教育改革として、都は都立高校の改革を進めています。生徒数の減少に伴う都立高校の再編、多様で柔軟な高校教育の再配置を内容としています。これには既存の高校の統廃合も含まれているので、当事者等からは反発もありますが、基本的には引き続き前向きに取組むべきと考えます。
 また、石原知事は最近、都立の4大学を統合し、新しい大学を創設する方針を打ち出しました。知事は、最終学府である大学を東京でまず変える事によって、高校までの教育にも影響を与えるとして、教育改革全体に広げる考えを示しています。都の新しい産業を支える産学協同体制を構想しているようですが、具体的内容は今後検討するという事です。方向性は評価しますが、いずれにせよ、衆知を集め、現場の声をよく聞き、開かれた体制で議論するよう求め、今後の展開を注目していきたいと考えます。

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